2020年5月14日、18日にオンラインにて開催した、地球惑星物理・地球惑星環境学科合同ガイダンス(駒場生向け進学ガイダンス)の内容に関する質問にお答えしています。
地球惑星物理学科・地球惑星環境学科[質問コーナー](2020.6/30まで)
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・ 地球惑星物理学科Q&A
・ 地球惑星環境学科Q&A
★・・・2020.7/11更新
Q 『駒場生のための科目選択の手引き・要求科目と要望科目』を見たのですが、進学後のカリキュラムも踏まえると、どの科目を優先して勉強するべきでしょうか?特に、数学・物理科目の中で教えていただきたいです。どの分野をやりたいか決まっていませんが、系外惑星に少し心惹かれています。 ★
要求科目は、地球惑星物理学を学ぶ上で最低限必要な基礎を与える科目です。3年次以降、受講生が要求科目をすべて習得していることを前提として講義・演習が進められます。そのため、全ての科目の単位取得が必須となっています。
一方、要望科目は、地球惑星物理学を学ぶための助けとなる基礎科目です。特に概論科目では、地球惑星物理学を含む地球惑星科学および天文学を俯瞰的に見ることができ、地球惑星物理学とはどのような学問か、どのようなテーマを扱うのかを知ることができます。それによって、3年次以降の講義・演習の位置づけが明確になり、また、新たに興味を持てる対象が見つかるかもしれません。そのため、できるだけ多くの要望科目を履修して欲しいですが、無理のない範囲で、ご自身の興味に近いものから選択されると良いでしょう。さらに具体的に知りたい場合は、科目担当教員または関心のあるテーマを専門とする教員に直接問い合わせることをお勧めします。
Q 地球惑星環境学科に入って古生物学を学びたい と思っているのですが、Aセメスターから始まる基礎実験は生物実験を選んな方がよいですか?
過去の生物を理解する上で、現在の生物を理解することは欠かせません。その意味で、将来古生物学を学びたいのであれば、駒場の基礎実験で生物実験を選択することは強く推奨されます。
一方で、古生物学の基礎として、数学、物理、化 学、地学など生物学以外の科目も重要ですので、興味があるのであれば、物理学実験や化学実験等を選択しても損にはならないだろうと思います。
Q 異常気象の研究をしたいと考えているのですが、数学と物理がとても苦手です。数学と物理は気象の研究に必須でしょうか?
異常気象について理解を深めるには、流体力学と熱力学のある程度の理解は必須です。また、カオス的性質について研究したいのであれば、数学を避けることはできません。
一方で、研究すべき事柄が複雑で多岐にわたるため、高度な数学と物理学を直接には使わずに研究に取り組んでいる人も多くいます。
Q 就職情報(博士課程修了)を見ると、理学系の他専攻と比べてもPDや助教として就職される方の割合が高いと思うのですが、どのような背景があるのでしょうか? ★
研究に興味がある人が多いことと、地球惑星科学分野は基礎から応用まで 様々なポストがあることから、PDや助教として就職される割合が高いと考えられ ます。
一方で、企業からの理学系博士学生への期待は大きく、メーカーのみなら ず、IT系、コンサル系、銀行系での採用も増えてきており、希望すれば民間でも 十分に就職は可能な状況です。
Q 理物・理天と合同の必修科目が多いとのことでしたが、進度が早い、または難易度が高いなどでついていくのが大変だった授業はありますか?
選択必修の範囲内の共通科目は単位が取れないほど難しくはありません。
選択科目には難易度が高くついていくのが大変なものがあると思いますが、なんとか食らいつくことで数物的な力がつくと思います。あくまでも選択科目なので、自分の興味と実力に応じて難しい科目にも挑戦してみてください。
Q 環境学科はフィールドワークが多いとのことですが、体力がないと厳しいでしょうか?普段運動をあまりしない女性でもついていけますか?
普段運動をあまりしない女性でもついていくことは可能です。特に授業科目のフィールドで、普通の体力の人がついていけない場所には行きませんので、心配要りません。
私(男ですが)も学生の頃に同じことに不安を感じて、同じ質問をしたことありました。その時に地質学の先生がくれた答えは「体力より知力がフィールドには大事である」でした。その時には、「えっ。知力?」と思って不安が増しましたが、大事なのは地質を判断する力だから体力や脚力の心配は角にする必要はない、という意味でした。今は、あの言葉の通りだと思っています。
Q 航空宇宙学科と地物の違いは何でしょう?
どちらの学科も物理的手法を勉強する学科であり、航空機や惑星探査機を使った研究を含んでいます。ですが、航空宇宙学科は飛行機やロケットなど地球や惑星へ行く手段(乗り物)が興味の中心であるのに対し、地物は地球や惑星そのものが興味の中心です。惑星や地球に関する理学的な勉強や研究をしたいのであれば、地物に進学することが早道です。
Q 3年次に計算機演習を重点的に行うとのことでしたが、プログラミングに苦手意識を持っており、授業についていけるか不安です。
地球惑星物理学科の地球惑星物理学演習は、毎年ほぼ全ての学生が履修しており、プログラミングに初めて取り組む学生を含めて、全員がデータ解析や数値シミュレーションの基礎を身につけられるように、ゆっくりと丁寧に演習を進めます。
担当の教員に加えて、毎回3人程度の修士・博士学生がTAとして質問の対応を行うなど、学生がついてこられるように手厚くサポートも行っています。
計算機に関する部分、数学に関する部分など人によっては苦労する場合がありますが、結果としては少なくとも最近5年間は履修者全員が単位を取得できていますので、あまり心配しなくて大丈夫です。
Q 地球惑星環境学科のほうでは大気・海洋分野の物理的な側面からの研究はできないのでしょうか?固体地球などの先生も何人かいらっしゃる一方、大気海洋分野では化学的な研究をしている方しか見当たらず、少し気になったため質問させていただきました。
大気・海洋分野の物理的な側面からの研究は、やはり地球惑星物理学科が中心になります。物理学的研究には物理科目に重点を置いたカリキュラムになっている学科で勉強することが有利なので、そうなります。ですから、大気・海洋分野の物理的な側面を中心に研究したいとの意思がはっきりしている人には、地球惑星物理学科への進学がお勧めです。
ですが、大気海洋の化学的側面に物理学的側面を加えて総合的に地球惑星科学が研究したい場合には、地球惑星環境学科に進学した方が良いかも知れません。地球惑星環境学科でも頑張れば物理学の講義を取ることは可能ですし、化学系の先生について物理的側面も含んだ卒論テーマに選ぶことも可能です。
また、連携している大気海洋研究所等には物理的側面を中心に研究している先生が何人もいて、地球惑星環境学科の卒論指導を受けることが可能です。
Q 入試予定の高3です。自宅学習を続けていて、あまり情報がなく、ガイダンスビデオの配信予定はありますか?
今回のガイダンスは学内生(主に進学選択を控えた学部2年生)向けの内容でしたので、高3の学生さんにはあまり有益な情報はなかったと思います。
むしろオープンキャンパスが高校生を主眼にした企画なので、そちらに参加いただけると良いと思います。また、理学部では高校生向けの講座も開いております。新型コロナウイルスの影響で例年とスケジュールや方式が変わると思いますが、理学部HPなどで随時発信しておりますので、ぜひご参照ください。
理学部HP/高校生のみなさんへ https://www.s.u-tokyo.ac.jp/ja/highschool/experience.html