以下に、地球惑星科学専攻の授業科目とその簡単な内容を示します。
基礎科目は毎年開講されますが、専門科目の開講は、毎年または隔年等、科目ごとに異なります。
▼ 一般基礎科目(*学部大学院共通講義)
授業科目 | 授業内容 |
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時系列データ解析 | 地球科学において時系列データとして記録される多種多様の観測データの解析の基本的な解析手法であるFourier変換,特に離散フーリエ変換を,その数学的基礎にまで立ち返って講義する.さらに,スペクトルと相関関数,線形システムの応答,スペクトルの推定誤差,簡単な数値フィルター等,時系列データ解析の基本となるいくつかの項目について講義する.応用編としてアレイ解析なども扱う. |
*地球物理データ解析 | 地球惑星物理学では観測データから未知の物理量を推定したり背景にある法則に関する情報を抽出したりする機会が多い。この授業ではそのためのデータ解析手法の基礎理論と地球惑星物理学の諸問題への応用について体系的に解説する。統計学的な基礎の復習からはじめ、モデルに依存しないデータ分析および、モデル推定について解説する。内容には、線形回帰解析、時系列解析、主成分分析、インバージョン解析などを含む。 |
地球物理数学 | 学部で数理的手法を学ぶ機会が少なかった人を対象として、地球科学の諸現象・諸過程を記述する数学を理解するうえで必要な基礎的項目について解説する。 |
*地球物理数値解析 | 地球惑星物理学に関連する偏微分方程式を数値的に解くための手法を説明する。特に差分法について、その基礎概念から実際に用いられる方程式系の扱い方まで、宇宙惑星、大気海洋、固体の各分野での特性を踏まえて概説する。 |
地球物理数学 | 学部で数理的手法を学ぶ機会が少なかった人を対象として、地球科学の諸現象・諸過程を記述する数学を理解するうえで必要な基礎的項目について解説する。 |
*地球物理数値解析 | 地球惑星物理学に関連する偏微分方程式を数値的に解くための手法を説明する。特に差分法について、その基礎概念から実際に用いられる方程式系の扱い方まで、宇宙惑星、大気海洋、固体の各分野での特性を踏まえて概説する。 |
*弾性体力学 | 巨視的なスケールでの物質の力学的挙動を数理的に扱う学問分野である連続体力学は,地球科学を研究する上での重要な基礎である。この授業では,弾性という力学特性を持つ物体の連続体力学(弾性体力学)について,その基本概念と基礎方程式の導出・解法について解説する。 |
*地球力学 | 地球の形状・重力場・潮汐・地球回転など、固体地球科学者にとって必須の測地学的基礎項目について、理論と観測を解説する。 |
*地球流体力学I | 地球科学の問題を考える際に、流体力学の取り扱いが必要となることが多くある。この講義では自然のさまざまな現象を支配する流体力学の基礎を学ぶ。流体運動を記述する基本方程式の導出から始めて、その記述方程式の取り扱い方を示し、複雑な流体運動の性質を説明していく。 |
*地球流体力学II | 大気や海洋などの地球流体は、密度成層や地球回転の効果を強く受けるために、通常我々が経験する流体運動とは大きく異なるだけでなく、波や不安定現象などの非常に多様な運動を生ずる。本講義では、流体力学の初歩的な知識を前提として、将来気象学や海洋学を学ぶ上で不可欠な、大気や海洋など地球流体の運動の基礎的概念と解析手法を概説する。 |
*地球惑星内部物質科学 | 地球惑星内部の高温高圧極限条件下における物質の構造・物性・相転移など、高圧鉱物物理学の必修項目を熱統計力学や量子化学の基礎的内容をもとに解説する。また、地球や惑星の内部構造やダイナミクスが、いかに「物質」に支配されているかを地球物理学的観測と鉱物物理学的実験データとを比較することで明らかにする。 |
地球惑星物質科学基礎論 | 地球惑星内部の基本的構成単位である鉱物の結晶構造と結晶化学,熱力学の基礎,珪酸塩鉱物および溶融体の熱力学・地球化学,化学平衡と元素分配の原理,微量元素地球化学の基礎,同位体地球化学の基礎について学ぶ。 |
*惑星大気学 | 概要太陽の影響を受けて変動する地球型惑星の大気圏・電離圏・磁気圏から惑星間空間における普遍的物理・化学過程を解説し、基礎方程式に基づいて直感的理解にいたることを主目的とする。また、飛翔体やレーダーを用いた各領域の測定手法、および系外惑星大気への応用についても解説する。 |
*比較惑星科学基礎論 | 太陽系内の地球型惑星、衛星、および小天体について、最新の科学的知見を紹介するともに、太陽系と地球型地球の起源と進化について解説する。また、系外惑星についても概観する。 |
*地球惑星システム学基礎論 | 地球や惑星を一つのシステムとして統一的に理解するための基礎論.その代表的な例題である水惑星の形成と表層環境の維持に関わる問題を軸とし,システムの理解にとって重要なフィードバックや分岐・多重解,時定数などの概念と役割,重要性を解説する |
*地球史学 | 地球46億年の歴史を,地球形成期から現在までの時間軸に沿って,固体地球の進化と表層環境の進化および生命の進化との相互作用の視点から概観する. |
*固体地球科学 | 地球内部の構造(状態、構成物質、温度・圧力)、レオロジーとダイナミクス(熱源、マントル流とプレート運動、核の対流と地球磁場)、およびそれらと地表現象(プレート運動、地震、地殻変動、地形形成、火成作用、大陸形成、造山運動)の関連性を解説する。 |
*宇宙地球化学 | 地球惑星環境の進化・変動を化学的に捉える上で必要となる基礎原理(化学反応・平衡,元素分配・移動,同位体分別,放射壊変)とその原理に基づく地球化学的アプローチを理解すること. |
*回折結晶学 | 物質構造を原子レベルで理解するために、結晶学の原理、結晶とX線・電子線の相互作用の原理、それらの応用を概説する。 |
*固体機器分析学 | 地球惑星科学に関連する固体物質を調べるための,主要な分析機器の原理と分析の実例を解説する。また各分析法の原理を説明した後で分析の実際を実験室で見学する。 |
▼ 大気海洋科学専門科目
授業科目 | 授業内容 |
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大気物理学I | 地球表層の気候システムは太陽から受け取る太陽放射エネルギーと宇宙空間へ射出する地球放射エネルギーによって駆動される熱機関であるため、これらのエネルギーの伝達機構とその地球表層系との相互作用を理解することは、気候の形成・変動メカニズムを理解する上で重要である。また、現代の気候研究にとって重要な道具である気候モデリングおよび衛星観測においても、放射過程は不可欠な構成要素・観測原理である。本講義では、このような重要性を持つ放射伝達過程の基本的理解とともに、気候形成における放射エネルギー収支の役割と、気候モデリング・衛星観測への応用についての基本的知識を学ぶ。 |
大気物理学II | 熱帯・亜熱帯域の雲や降水形成を決定するさまざまな不安定、メソスケール構造、大規模波動の基礎を解説する。また、雲降水システムと大規模大気波動や大気循環の間のマルチスケール相互作用、および、気候形成における雲降水システムの役割について、最近の知見 を紹介しながら論じる。 |
大気物理学III | 大気の中の波動、種々の不安定現象、対流、乱流および渦の振舞い、擾乱に伴う輸送過程など、大循環からその中に生じる擾乱まで、大気の流れのしくみをきちんと理解してさらに議論を進めていくために最低限必要となる大気力学の理論に関する概観とその解説を行う。 |
大気物理学IV | 中層大気(成層圏・中間圏・下部熱圏)の構造や成り立ち,中層大気における波動の3次元伝播やその非線形的な振る舞い,波動が大気大循環や赤道大規模振動に及ぼす役割,対流圏とのつながり,成層圏オゾン層の維持に関わるラグランジュ的な流れについて解説する。 |
海洋物理学I | 海洋中における乱流混合過程を的確にパラメータ化して海洋大循環モデルや大気海洋結合モデルに組み込むことは、中長期の気候変動の予測精度を向上させる上で不可欠な課題である。実際、深海乱流は、深層海洋大循環の強度やパターンをコントロールする重要な物理過程として位置付けられているし、海洋表層乱流は、海面水温の決定因子の一つとして大気海洋相互作用に重要な影響を与えている。本講義では、これらの乱流混合が励起される物理機構、さらに、その物理機構に基づく乱流強度の定量化の試みを紹介するとともに、乱流混合に代表される微物理過程が海洋大循環や大気海洋相互作用とどのように絡んでいるのかを考察することで、将来の海洋物理学が進むべき新たな方向性を明確にしていきたい。 |
海洋物理学II | 黒潮や親潮に代表される海洋の風成循環の構造と変動、およびそのメカニズムを学ぶ。また、海洋の水温・塩分構造、とくに表・中層の水塊の分布と変動について学ぶ。最新の海洋観測も併せて紹介する。 |
海洋物理学III | 全球規模の気候変動の理解に重要となる海洋大循環、とくに海洋深層循環について解説する。海洋大循環モデルをはじめとする数値モデリングの手法についても言及し、それを用いた海洋深層循環ついての形成・維持メカニズムおよびその気候への役割について、これまでの研究に加えて最新の研究成果も紹介しながら解説を行う予定である。 |
気候力学I | 海洋が重要な役割を果たしている気候の自然変動,特に熱帯域における大気海洋結合現象に関して,その力学特性やメカニズムについて解説する.観測データを用いた解析結果や数値モデルによるメカニズムの解釈について,理論的考察も含めて議論する. |
気候力学II | 主として中高緯度で観測される気候変動の実態と、それに関与する様々な時空間スケールを持つ現象の間の相互作用について議論する。具体的に採り上げる現象は、北大西洋振動や北太平洋の10年規模変動に伴う中緯度での大気海洋相互作用とストームトラックの役割、ENSOの遠隔影響に伴う北太平洋水温偏差の形成における大気海洋相互作用、北太平洋10年規模変動における海洋波動や海洋前線帯の役割、南北半球の環状モード変動におけるストームトラックや惑星波変動の役割などである。 |
大気海洋物質科学I | 大気中の物質はその物理化学的特性に応じて、地球の放射収支、大気質、物質循環の担い手として地球システムに多大な影響を与えている。本講義では、まずこれらの大気中の物質の役割を概観し、また大気化学反応の基礎を学ぶ。そして成層圏・対流圏の大気化学の中心であるオゾンについて、そのグローバル分布と、その分布を支配する放射、輸送、光化学反応、除去過程について論ずる。またオゾンに関連する各種のラジカル成分についても概説する。またこれらの物質と深く関わるエアロゾルについても概説する。大気中の気体物質の観測手法についても触れ、大気環境変動研究に関する最新の知見を概説する。 |
大気海洋物質科学II | 海洋物質循環・分布を規定する鍵となる物理・化学・生物の素過程について理解を深めることを目的として、水塊形成・変質・輸送に関わる物理過程及び物質の変質・輸送に関わる化学・生物過程について解説する。現実の海洋の物理場の中で生じる化学・生物過程を物質循環に結びつけ、海洋環境を構成する海洋大気、海水、海洋生物、海洋堆積物の基礎的化学過程を理解する。潮汐とその長周期変調が鉛直混合過程を通じて海洋循環・物質循環・気候・海洋生態系に与える影響について、潮汐、熱塩循環、水塊形成・変質定式化、海洋中の乱流鉛直混合と計測手法、中規模渦と平均場との相互作用、物質循環・生態系等諸素過程の解説を通じて明らかにする。 |
大気海洋科学特論I-IV | 学内外の研究者を講師として招き,大気海洋科学に関連した最新の話題と研究成果を集中講義で紹介する。 |
▼ 宇宙惑星科学専門科目
授業科目 | 授業内容 |
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宇宙プラズマ物理学I | 宇宙での高エネルギー粒子(宇宙線)加速とプラズマ過程について解説する。 |
宇宙プラズマ物理学II | 太太陽・天体プラズマ物理学を、輻射診断と磁気流体力学との観点で講義する。前半は、高温の磁気プラズマが関与する現象を観測的に診断するために必要となる放射および放射伝達の基礎を、太陽コロナ・遷移層のプラズマを題材に用いて解説する。観測および観測データを理解する上で必要となる基礎を習得することを目標とする。後半は理論的観点から、太陽・天体活動現象を題材にしながら、それらに磁気プラズマが関与しているのを解説する。それが磁気流体力学によって理解できること、さらにその基礎方程式を駆使して応用できるようになること、が目標である。 |
磁気圏物理学I | 太陽風(太陽からの超音速プラズマ流)と惑星の固有磁場・大気が相互作用することによって惑星周辺の宇宙空間に形成される勢力圏を磁気圏と呼ぶ。惑星の持つ固有条件と物理機構の組み合わせにより、惑星磁気圏は多様な様相を示す。本講義では、地球を含む惑星磁気圏の基本的性質について解説するとともに、飛翔体探査によって明らかになりつつある磁気圏の多様性と普遍性について研究の現状と課題を紹介する。また、宇宙天気、宇宙気候研究への応用についても解説する。 |
磁気圏物理学II | 人工衛星・観測ロケット搭載用の様々なプラズマ粒子計測装置の原理について解説した後、地球・水星・木星など磁場を持つ惑星の磁気圏や月など磁場を持たない天体の周辺空間の構造・ダイナミクス・太陽風との相互作用について、実際の観測例を元に解説し未解決の現象について議論する。 |
惑星探査学I | 惑星が辿った個性あふれる進化過程,そして惑星近傍の宇宙空間で生じる多様な現象・構造を俯瞰する.さらに,それらの知見をもたらしてきた惑星探査の歴史について解説し,観測技術の詳細にも触れながら,将来の宇宙惑星探査に目を向ける.宇宙惑星探査の歩みを理解するとともに,探査プロジェクトの心意気に触れることを目標とする。 |
惑星探査学II | 太陽系探査/観測のレビューを行なうとともに、|主に衛星・ロケット・気球などの飛翔体上からの、大気(中性・プラズマ)に関|する電波/光学遠隔測定およびその解析方法について解説する。 |
比較惑星学I | 太陽系探査で明らかにされた様々な惑星の姿と起源・進化の様相を理解することを目的とする。 |
比較惑星学II | 探査機によって観察された天体の中で、特に多くの探査データがある固体天体(火星や金星、小惑星、氷衛星など)の表層で生じる諸現象をこの講義の対象とする。天体ごとに最新の科学的成果を整理し、それらを相互に比較することで、地球を含む各天体の進化に関する理解を深めることを目的とする。 |
宇宙惑星物質科学I | 各種の固体惑星物質について、様々な物質科学的・鉱物学的特徴について概観し、それらの結果から得られた情報を元に、それぞれの母天体の形成過程や太陽系における惑星物質の進化過程について解説する。 |
宇宙惑星物質科学II | 太陽系の起源と初期進化に関するトピックスについて、隕石などから得られる同位体的、宇宙化学的情報をもとに議論する。最近の論文をもとにディスカッションをおこない、理解を深める。 |
宇宙惑星科学特論I-IV | 学内外の研究者を講師として招き,宇宙惑星科学に関連した最新の話題と研究成果を集中講義で紹介する. |
▼ 地球惑星システム科学専門科目
授業科目 | 授業内容 |
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地球惑星システム学 | 地球惑星システム学基礎論の発展講義。氷期間氷期気候変動の検討を中心に、二酸化炭素循環、惑星の気候の安定性や、生態系の例なども交えて、地球や惑星の複雑な挙動・現象をシステムという視点から捉える上で有用な考えかたや手法を学び、応用力を身につけることをめざす。特に時定数の概念と応用。地球・惑星システムの連続的なあるいは不連続的な変化変動を理解・予測する上で重要な、フィードバック、安定性・不安定性、分岐、振動などの概念の初歩を解説する。 |
惑星系形成論 | 太陽系には8つの惑星があり,内側の4つ(水星・金星・地球・火星)は軽い岩石惑星,中間の2つ(木星と土星)は非常に重いガス惑星,外側の2つ(天王星・海王星)は比較的重い氷惑星である.このような太陽系の基本構造は,少なくとも定性的には,京都モデルと呼ばれる太陽系形成標準モデルの枠組みで説明される.しかし,定量的にはいくつかの重要な課題が未解決のままである.さらに,今日までに数千個に及ぶ惑星が太陽以外の恒星のまわりに検出されている.それらは太陽系外惑星あるいは系外惑星と呼ばれる.系外惑星および系外惑星系は,例えば,惑星質量や軌道の特徴,バルク密度などに大きな多様性を見せる.そのような多様性のために,我々は太陽系形成の現在の描像を再検討せざるを得なくなった.惑星および惑星系の多様性をもたらすものは何か.京都モデルが見落としているプロセスは何か.どのような特徴が惑星系一般のもので,どのような特徴が太陽系固有のものなのか.本講義では,進化し続ける惑星系形成理論の基礎を理解することを目指す. |
*系外惑星特論I | 1995年の発見以来、太陽系外惑星は天文学および地球惑星科学の最もホットな トピックの一つになっている。本講義では、太陽系外惑星の理論を中心に最新の成果を含めて解説する。 |
系外惑星特論II~V | 1995年の発見以来、太陽系外惑星は天文学の最もホットなトピックの一つになっている。本講義では、太陽系外惑星の観測および理論の両方について、最新の成果を含めて詳細に解説する。 |
物質循環学 | 本講義では火成岩の元素,同位体組成から地球の化学的進化,物質循環を調べる手法について解説する.また、二次イオン質量分析計の基本的な原理、分析法としての特徴を概説するとともに、ジルコンやアパタイト、モナザイトなどのウランー鉛年代測定法、希土類元素を中心とした微量元素の地球化学について講義する。さらに、その応用例として、隕石、地球最古の岩石、鉱物、地上に現れた最初の生命などの項目について講義する。 |
大気海洋循環学 | 大気(主に対流圏)と海洋の平均的な熱構造や循環構造の実態を概観し、その仕組の理解のために必要な基礎知識を概説する。また、気候系の形成やその変動における大気・海洋循環の役割にも言及する。必要に応じて数式を用いるが、その導出ではなく、式の物理的意味の理解に重点を置く。 |
大気海洋化学 | 大気や海洋の運動、水の相変化やエネルギーの流れを物理的に理解することは、大気や海洋で生起する重要な物理的、化学的過程(異なったスケールでの)の理解に必要である。このための物理的基礎を講義する。特に、大気熱力学、雲物理学、大気放射を中心に、系統的に説明する。 |
地理情報学 | 地理情報システム(GIS: Geographical Information Systems)は、地球表層における自然と人間による複合した過程を解析する上で、きわめて有効な方法/視点である。本科目では、地図学を含むGISの基本的な考え方と手法を解説し、GISを活用した地球表層システム解析の応用例を紹介する。 |
*気候システム学 | 地球上の表層環境を形成する重要な要素である気候について、現在のグローバルな気候システムを形成するメカニズムとそれに関わる物理過程を理解する。気候データ解析と気候モデルの手法に触れつつ、地球温暖化を含む過去から将来までの気候変化とその仕組みを理解する。 |
*古気候・古海洋学 | 第四紀を中心とした比較的現在に近い地質時代に的を絞り、地球表層環境が、どの様なタイムスケールでどの様に変動したのか、そうした変動は、どの様な原動力、メカニズムにより引き起こされたのかについて、その概要を解説する。 |
古環境学 | 近未来環境変動予測のための古環境学という視点に立って、古環境復元のためのプロキシの原理とその応用、および古気候モデルの基本原理、 構造、応用について最終氷期~後氷期の環境変動復元の具体的事例を用いながら解説する。 |
環境生態学 | 地球環境と生態系について,最新の知見をレビューする。 |
地球惑星環境進化学 | 地球惑星システムにおける物質循環とエネルギー収支という観点から,地球惑星環境の長期的安定性,大気海洋系の進化,地球環境と生命圏の共進化,地球史における地球環境変動,比較惑星環境進化論,ハビタブルプラネットなどの諸問題について解説する。 |
地球惑星内部進化学 | 地球やその他の地球型惑星内部の構造•ダイナミックス•進化の研究をその発展の歴史に沿う形で概観し、その上で特にマントルの進化に注目し、その重要な要素であるマントル対流と火成活動の基本的な性質を解説した上で、月•水星•火星•金星•地球の内部進化を系統的に理解する。 |
地球惑星システム科学特論I-IV | 学内外の研究者を講師として招き,地球惑星システム科学に関連した最新の話題と研究成果を集中講義で紹介する。 |
▼ 固体地球科学専門科目
授業科目 | 授業内容 |
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地震波動論I | 地震波動論の基礎と地球内部構造推定のための地震学 |
地震波動論II | 不均質な地下構造を伝播する地震波の特性と、地震災害を起こす原因となる強い揺れ(強震動)の生成過程を、観測された波形データの例示と数値シミュレーションに基づき解説する。また、不均質な地下構造と地震発生との関連について理解することを目的に、地震波の伝播特性に基づく地下構造の様々な推定方法と地震活動の性質について学ぶ。 |
地球内部構造論 | 地球の内部構造について、物質科学、地震学、地球電磁気学の観点から総合的に解説する。 |
地球内部ダイナミクス | 地球やその他の地球型惑星内部の構造•ダイナミックス•進化の研究をその発展の歴史に沿う形で概観し、その上で特にマントルの進化に注目し、その重要な要素であるマントル対流と火成活動の基本的な性質を解説した上で、月•水星•火星•金星•地球の内部進化を系統的に理解する。 |
地球電磁気学 | 地球電磁気学の基礎的事項について講義する。地球の電磁気的な性質が、地球の現在の活動と地球誕生後の進化過程に密接に関係していることの理解に重点を置く。 |
マグマ学 | マグマ系の熱力学的振る舞い、物理的性質をまず概観してから、マグマの発生、分化、混合、同化の基本過程の物理化学を学習し,マグマ過程の理解にとって強力な地球科学的アプローチの理解を深めてから、地球史におけるマグマ活動について、地球の初期分化、大陸地殻の形成と消長、表層環境との相互作用について学習する。 |
火山学基礎論 | 火山現象を理解するために必要な知識は、地質学・岩石学・理論・モデリング・地球物理学的観測・実験等多岐に渡る。これらの様々な知識を理解し、観測・解析例を通じて火山の理解を深めることをめざす。 |
変動帯テクトニクス | 地球のプレート境界を特徴づけるのが変動帯である。本講義では、地球物理学的にみた変動帯の様々なスケールでの構造・変動過程(前半)とグローバル的にみた世界の変動帯・沈み込み帯テクトニクス(後半)を学ぶ。 |
地球レオロジー | 地球内部のレオロジーは、マントル対流から地震波伝播に至るまで様々なタイムスケールの現象に大きな影響を与えている。この授業では、地球内部のレオロジーを支配しているミクロなメカニズムを学び、弾性・非弾性・粘性・電気伝導度などの物性がどのような物質科学的性質(温度・物質・流体相・岩石組織など)によって決まっているかを学ぶ。実際の岩石・鉱物組織を見ることも学ぶ。また、岩石のレオロジーが地球のダイナミクスに与えている影響について学ぶ。 |
海洋底ダイナミクス | プレート境界の大半が海底にあることからわかるように、海底は現在まさに活発な火山活動や構造運動の起こっている場である。この授業では、海底の構造とそこで起こる諸現象、海底に残された地球史の記録、海底調査技術について基礎的な事柄を解説する。さらに、論文購読や演習などを通して、実際の海底のデータや最新の研究結果に触れる。 |
地形形成進化学 | 変動帯で形成される地形は,内的作用と外的作用が相互に作用して発達している。この授業ではそれらの概観と一つ一つの要素について説明する.特に内的作用を担う内陸活断層や沈み込み帯の地殻変動などについて,地震活動の履歴を読み解く古地震学と,地形の形成を論じる変動地形学の両方の視点から解説し,実際の研究例を紹介する。 |
*地震物理学 | 地震は弾性体岩盤中の破壊を伴う摩擦すべりによる、弾性波動伝播プロセスである。地震の発生過程を理解するための基礎として、弾性体力学の枠組みの中で地震の震源をどのように表現するか、また摩擦や破壊の物理の観点で、地震の破壊すべり過程をどのように扱うか、について体系的に解説する。 |
地震発生物理学 | 前半では,破壊力学の立場から、弾性体力学の枠組みの中で、地震の破壊過程をどのように数学的に取り扱うかについて解説する。この破壊力学的震源モデルから断層の応力集中、滑り速度、破壊速度などが定量的に導かれることを理解する。後半では,断層岩類の分類,定義とそれらの性質および成因,断層帯のアーキテクチャおよびその深度分布,断層内物質の静的な物理/化学的性質,断層内物質の動力学的性質およびその温度圧力 依存性,断層内物質の非平衡化学反応,地震時の断層破砕帯でのエネルギー散逸について解説する. |
固体地球観測論 | 地球物理学の進歩は、観測方法の発展、観測による新発見に拠るところが大きい。この講義では地球物理学観測の原理や手法を学ぶ。 |
固体地球科学特論I-VI | 学内外の研究者を講師として招き、固体地球科学に関連した最新の話題と研究成果を集中講義で紹介する。 |
▼ 地球生命圏科学専門科目
授業科目 | 授業内容 |
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地圏環境進化学 | 炭酸塩岩を中心に据え,そこに記録される地球史,気候変動,生命進化を研究するための基本的情報について学ぶ. |
環境鉱物学 | 地球表層での鉱物ー水—大気反応の素過程に関係する基礎、さらに、この相互作用と、鉱物の溶解・風化、元素の移動、先カンブリア時代の大気の進化、さらに環境問題との関連について講義する。 |
生命圏環境形成論 | 先カンブリア時代から第四紀までの46億年間の環境を講義する. |
生命圏物質解析学 | 電子線を用いた、地球惑星物質の微細構造を観察・解析するため手法について解説する。 |
生体鉱物学 | 生物が、その生命活動の中で自ら形成する無機物質(生体鉱物)は、硬組織として化石記録に残るだけでなく、地球表層の物質循環にも重要な役割を演じる。またその構造は、多くの場合生命活動を維持するために最適化されており、無機的に形成された鉱物とは大きく異なる。本講義では、そのような生体鉱物の種類や構造の特徴、その形成に関与すると考えられる有機高分子やその役割等を概説する。 |
進化古生物学 | 現生種と化石種の比較に基づく長い時間軸での生物進化研究のアプローチへの基礎的な理解を目標とする。特に脊椎(有頭)動物と軟体動物について、比較解剖の基礎や機能形態などの研究を通じて明らかになった最新の成果を概説する。 |
生命圏進化学 | 地球化学,分子生物学などを含む生命地球科学の理論と方法について習得する.また,その応用として,太古代,原生代,pC/Cの現象に関する理解を深める. |
*地球生命進化学 | 古生物学と進化生物学の理論や研究法の基礎を学習し、生命進化のパターンとプロセスを理解する。特に化石の形態学的情報を基に、系統関係や進化の解析を行う方法について紹介する。 |
*地球生命科学 | 地球史を通じて、表層環境の形成・進化および物質循環に影響を与え続ける肉眼で観察できない生命に焦点を当てる。分子系統学、代謝様式、有機地球化学および生息環境の多様性について学び、地球環境および物質循環との係わりについて数値解析を用いた手法も含めて学習する。 また後半は、 地球を特徴づける生命とはいかなる存在か、DNA、進化、「かたち」をキーワードに考える。古代ゲノム学、進化発生学、そしてそれらの基礎となる分子系統学の方法論と重要な概念・成果について学ぶ。 |
*地球環境化学 | 地球表層での(主に水を介した)元素の挙動を支配する物理化学的な要因を理解し、それを基に主に水圏で起きる化学反応を理解する。またこれらにより記述できる天然系でみられる現象を学ぶ。 |
地球微生物学 | 地球史を通じて、表層環境の形成・進化および物質循環に影響を与え続ける肉眼で観察できない生命に焦点を当てる。分子系統、代謝様式および棲息環境の多様性について学び、地球環境および物質循環との係わりについて学習する。 |
*資源地質学 | 鉱物および燃料資源に関係した物理学的、化学的、生物学的、地質学的な元素濃集のプロセスを講義します。 |
地球生命圏科学特論I-V | 学内外の研究者を講師として招き、地球生命圏科学に関連した最新の話題と研究成果を集中講義で紹介する。 |
▼ 共通専門科目 1.先端科目
授業科目 | 授業内容 |
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並列計算プログラミング | 大規模な数値シミュレーションに必須の技術である,並列計算プログラミング技法に関する講義、実習を実施する。並列計算に広く使用されているMPI(Message Passing Interface), OpenMPを使用したプログラミングを中心に扱う。様々な計算機における最適化技術についても併せて講義,実習を実施する。計算機環境としては,Reedbush-Uスーパーコンピュータシステム(情報基盤センター)等を使用する。ターゲットとするアプリケーションは有限要素法による一次元及び三次元定常熱伝導解析プログラムであり,背景となる基礎的な理論から,実用的なプログラムの作成法まで,連立一次方程式解法などの周辺技術も含めて講義を実施する。 |
気候変動予測論I | 短期、長期の天気予報や地球温暖化の予測に関わる基礎的な事項を学び、問題点や課題を議論する。 |
気候変動予測論II | 気候変動に関わる海洋現象について解説する。また、気候変動予測に用いられる海洋数値モデル、および数値モデリング結果を解釈する上での留意事項についても解説する。 |
▼ 共通専門科目 2.実習・演習
授業科目 | 授業内容 |
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野外調査実習 | 地球科学における基礎的な野外調査法の実習,岩石の分布,地質構造,地形,岩石と化石の産状の読み方や,地球環境に関する観察・記載・観測・測定・分布方法等の実習を野外にて行う. |
地球観測実習 | フィールドでの観測の実習を通して固体地球物理学の観測・計測に必要な基礎知識、測定方法、測定原理について学習する。 |
機器分析実習I-II | 地球惑星科学の研究分野で汎用されている分析手法の基本原理の解説および分析の実際を体験することにより、地球惑星を構成する物質の物理化学的分析法の習得を目指す。 |
科学英語演習 | 研究者にとって必要な英語の会話・発表・作文能力の向上を図る。 |
先端計算機演習 | 大規模な数値シミュレーションに必須の技術である,並列計算プログラミング技法に関する講義、実習を実施する。並列計算に広く使用されているMPI(Message Passing Interface), OpenMPを使用したプログラミングを中心に扱う。様々な計算機における最適化技術についても併せて講義,実習を実施する。計算機環境としては,Reedbush-Uスーパーコンピュータシステム(情報基盤センター)等を使用する。ターゲットとするアプリケーションは有限要素法による一次元及び三次元定常熱伝導解析プログラムであり,背景となる基礎的な理論から,実用的なプログラムの作成法まで,連立一次方程式解法などの周辺技術も含めて講義を実施する。 |
*地球惑星環境学国際セミナー | オーストラリア国立大学の地球科学研究所などと進めている国際教育・研究の枠組みの中で、フィールドワークや実験、講義などを通して最先端の分析もしくは日本では見られないフィールドでの地質観察、海外からの学生との合同巡検などを行うことにより、研究の最先端に触れるとともに、国際感覚も養いながら、研究の現場についての理解を進める。また地質や地形観察により、講義によって蓄積されてきた知識と有機的に結び付けることで総合的な地球惑星環境学の理解の深化に繋げる。 |
▼ 必修科目
授業科目 | 授業内容 |
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地球惑星科学論文講読I | 地球惑星科学の諸問題について,関連する論文の講読と様々な角度からの議論を通じ,その本質的理解を深める. |
地球惑星科学論文講読II | 地球惑星科学の諸問題について,関連する論文の講読と様々な角度からの議論を通じ,その本質的理解を深める. |
地球惑星科学コロキュウムI | 地球惑星科学の諸問題について,学生自身による研究成果の発表とそれに対する様々な質問・討論を通じて研究目的を明確化し,課題設定の仕方,研究の進め方,成果のまとめ方,発表の仕方等を修得させる. |
地球惑星科学コロキュウムII | 地球惑星科学の諸問題について,学生自身による研究成果の発表とそれに対する様々な質問・討論を通じて研究目的を明確化し,課題設定の仕方,研究の進め方,成果のまとめ方,発表の仕方等を修得させる. |
地球惑星科学特別研究I | 地球惑星科学に関する問題を特定して研究を行い,その成果を修士論文にまとめることで,前期課程修了者として要求される専門的知識体系と研究能力を修得させる. |
地球惑星科学特別研究II | 地球惑星科学に関する問題を特定して研究を行い,その成果を博士論文にまとめることで,後期課程修了者として要求される専門的知識体系と研究能力を修得させる. |
▼ 理学系研究科共通科目
授業科目 | 授業内容 |
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理学フロンティア科目 | 複数専攻の学生が受講する科目. |
理学クラスター講義 | 理学系研究科各専攻の教員による多面的に講義.自然界の共通対象への異なる見方やアプローチを紹介することで,既存の分野を超えた学際的フロンティア創造への入り口を提供する. |
現代科学・コミュニケーション論 | 理系研究者にとっての科学コミュニケーションとは、アウトリーチのみならず科学政策、研究倫理、科学ジャーナリズムなどと密接に関わる複合領域である。本講義では科学が社会の中でどのように位置づけられているのかを確認し、理系研究者がどのように社会とコミュニケーションをとっていくかについて講義する。震災後の社会と科学の在り方についても議論を行う。 |
現代科学史概論 | 理学の本質は,宇宙,物質,生命,地球をどのように認識するかという点にある.先人が悪戦苦闘して到達した認識は,「概念」という形で,現在の理学の基礎を成している.本講義では,各専門分野における重要概念の形成過程に焦点を当て,科学史的な立場から,オムニバス形式で分かりやすく解説する. |
科学英語演習 | 国際的な研究者として活躍するための,英語技術(話す,聞く,プレゼンテーション,論文作成)を身につける.上記科学英語実習と同じ. |
▼ 海洋学際教育プログラム科目
授業科目 | 授業内容 |
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海洋問題演習Ⅰ | 海洋に関わる政策的トピックについて、関連する自然科学的・社会科学的知見を総合して、分野横断的に議論を展開する。具体的課題に対する実践的 ケーススタディを通じて、専門の違いにとらわれず、問題解決に必要な知見を駆使して、受講者自らが実効的な政策を企画することを目指す。学問分野横断的な思考の獲得および政策立案・問題解決能力を涵養する応用型の教育科目であり、海洋に係る様々な政策課題への総合的なアプローチを具体的課題に即して学ぶことを目的とする。 |
海洋基礎科学 | 海洋は地球上の水の97%を保持しているだけでなく、絶えずそれを循環させ、地球の気候や環境を制御している。また、その中では光合成による活発な一次生産が行われ、豊かな生態系を支えると同時に、地球上の元素循環に大きな影響を与えている。 海底では,海洋底の拡大や沈み込みといったダイナミックな運動が見られると同時に、地球上の8割の火山・熱水活動が起こっている。それらは互いに関連しあって地球システムを形成しており、海の理解なしに惑星地球を理解することはできない。この講義では、それらの現象を概観し、環境や資源といった社会とのつながりが深い部分についても触れる。当授業の後半では、多様な海洋生物のそれぞれの特性を活かした研究と今後の展望について、海洋の現場で活躍する臨海実験所・海洋研究所の教員が基礎生物学の立場から解説する。 |
海洋科学野外実習Ⅱ | フィールドにおいて海洋科学を体験的に学習し,サンゴ礁を対象として海洋に関する理解を深めることを目標にする. |