Q&A コーナー

・地球惑星物理学科のほかに、理学部には地球惑星環境学科がありますが、どう違うのでしょうか?

 

 「地球や惑星における諸過程、諸現象の理解を目指す」という意味では、その目的や対象は似ています。異なるのは、その目的を達成するためのアプローチです。地球惑星物理学科は、名前が示す通り「物理学」を基本に、現象の物理的理解に重きをおき教育方針もそれにのっとっています。いっぽう、地球惑星環境学科は野外調査に重点を置いています。

 

 

・地球惑星物理学科では、宇宙や惑星についても勉強・研究できると聞いたのですが、物理学科や天文学科とは、どう違うのでしょうか?

 

 各学科で宇宙にアプローチする出発点となる考え方が異なっています。地球惑星物理学科の研究は、惑星探査機が届く近宇宙(地球惑星・太陽系)から、基礎物理が共通な(たとえばプラズマ非熱的加速など)遠宇宙へと対象が外に広がっています。物理学科は、X線・ガンマ線実験や相対論など基礎物理学を出発点に宇宙を研究しています。天文学科は、望遠鏡で調べる宇宙を対象にしています。系外惑星研究を例にとれば、地球惑星物理学科では太陽系での研究経験を生かして、生物存在可能圏(ハビタブルゾーン)や惑星物質進化が、いっぽう天文学科は望遠鏡を使った惑星探査が得意ですが、共同で研究することも多く、境界はだんだんあいまいになっています。

 

 

・気象や気候変動や海洋物理学の勉強・研究をしたいのですが、どの学科を選べば良いのでしょうか?

 

 将来、この分野の研究や仕事をすることを考えている学生には、地球惑星物理学科を選択することをお勧めします。地球惑星物理学科に進学すると、気象・気候変動・海洋物理学の勉強・研究をするのに不可欠な物理をしっかり勉強できる上に、地球流体力学、気象学、海洋物理学、大気海洋系物理学などの専門科目を体系的に学習することができます。

 

 

・地球や惑星に何となく興味があるのですが、具体的に興味のある分野が決まっていなくても大丈夫でしょうか?

 

 大学院進学までにはある程度しぼっておくのがよいですが、学部生のあいだに広く勉強して決めれば大丈夫です。地球惑星物理学科で開講される様々な講義や演習を受講する過程で、自分のやりたいことが決まる学生も多くいます。また、お昼休みに行われる学部生のための地球惑星科学セミナーで、教員が行っている最先端の研究の話を聞く機会もあります。 在学生からのメッセージのページも参考にしてみてください。

 

 

・地球惑星物理学科に進学するためには駒場でどのような勉強をしておくべきでしょうか?

 

 数学と物理学の基礎を身につけておくことが必須です。また化学の基礎も期待しています。これは、地球惑星物理学はその性格上、広範な科学的知識とそれを活用する能力が不可欠だからです。詳しくは、駒場生のための科目選択の手引き・要望科目のページをご覧ください。

 

 

・地球惑星物理学科では、手法として、数値解析や数値シミュレーションをよく用いると聞いたのですが、プログラミングができなくても大丈夫なのでしょうか?

 

 地球惑星物理学科に進学すると、第3学年夏学期の半年間でかなりプログラミングの知識・能力を身に付けることができます。具体的には、地球惑星物理学演習(月・水・木の午後3〜4限)で、UNIXやfortranを基礎から学ぶことができます。最終的には、fortranを用いて、行列問題や時間発展問題が解けるようになるだけではなく、地球惑星物理学の様々なデータの解析を行えるようになります。教員だけではなく、大学院生のティーチングアシスタント(毎回3〜4名)が丁寧に指導します。

 

 

・数値シミュレーションが好きでないと地球惑星物理学科には、向かないのでしょうか?

 

 実験的、観測的、理論的な手法についても教育・研究を行っています。 第3学年夏学期に開講される地球惑星物理学観測実習では、フィールドでの実習や講義を通して地球物理観測・計測に必要な基礎知識、測定方法、測定原理について学習します。さらに、自らの観測で得たデータの解析を行い、処理法についても学習します。 また、地球惑星物理学では実際に地球や惑星を観測したり、実験分析したりすることも重要ですが、そのための基礎的な実験技術の修得のために、第3学年冬学期には、地球惑星物理学実験/地球惑星化学実験が開講されます。

 

 

地震観測点を設置している様子

 

京都大学 理学研究科附属飛騨天文台の

ドームレス太陽望遠鏡の観測室にて

装置説明を受けている様子


 

 

真空実験の様子

 

 

・卒業論文は、あるのでしょうか?

 

 地球惑星物理学科には、地球惑星物理学特別演習(第4学年夏学期)と地球惑星物理学特別研究(第4学年冬学期)が開講されており、実質的にはこれらが卒業研究となっています。毎学期30〜40個のテーマが準備されているので、各自が興味のあるテーマを見つけることができると思います。各学期の終わりには、成果を口頭で発表する機会(1人約15分)が設けられ、レポートも提出することになっています。http://www.eps.s.u-tokyo.ac.jp/epphys/enshu/index/に特別演習/特別研究の一例が紹介されています。

 

 

・卒業後の進路は?

 

 卒業後の進路・大学院のページに2000年度以降の情報が掲載されています。本学科の卒業生に対する社会的需要は多いですが,学部卒業後直ちに就職する者は全体の1割程度で,多くの卒業生は本学大学院 地球惑星科学専攻に進学します。就職先は多岐にわたっています。大学院進学後の就職先については、 http://www.eps.s.u-tokyo.ac.jp/admin/aftergraduation.htmlを参照してください。卒業生からのメッセージのページも参考になると思います。

 なお、理学部には、就職・キャリア形成をバックアップするキャリア支援室もあります。

 

 

・大学院への進学は大変でしょうか?

 

 学部の勉強をきちんとやっていれば、困難ではないはずです(が、あくまで入学試験の結果次第です)。ちなみに、本学大学院の地球惑星科学専攻には、理学部の地球惑星物理学科(定員32名)と地球惑星環境学科(定員20名)の学生が多く進学しますが、その定員は109名です。

 

 

・教員と接したりする機会も多くあるのでしょうか?

 

 4年生での特別演習・特別研究は、教員ひとりにつき学生2名以下で、ほぼマンツーマンでの指導となります。また、地球惑星物理学科には、アドバイザー制度があり、(進学後の2年生以上の)学生1人に対し、2名のアドバイザーが付くことになります。履修する講義や学生生活など、いろいろな相談をすることができます。また、学生の有志が五月祭で実験・展示を行っていますが、内容等について、いろいろ教員に相談したりしています。五月祭の様子については、五月祭の体験談のページをご覧ください。

 

 

・進学を決める前に見学をすることは可能でしょうか?

 

 可能です。教務委員長( soudan-tibutsu@eps.s.u-tokyo.ac.jp )にメールでご連絡ください。

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