ご挨拶

地球惑星物理学科を卒業する皆様へ

理学部 地球惑星物理学科
学科長 井出哲

卒業おめでとうございます。

地球惑星物理学科の卒業式では、毎年先生方から祝辞が送られるのが慣例ですが、残念ながら今年はその機会がありません。そこで毎年のように先生方から語られることのいくつかを紹介します。

多くの先生が様々な表現で語ることは、大学卒業は大きな区切りだということです。
社会に出る人はもちろん、大学院に進む人も同じです。小学校から大学までの勉強では教わることが多く受け身になりがちですが、卒業後の研究や仕事では能動的な姿勢が重要になります。
また勉強で取り組むのは正解のある問題ですが、これから直面するのは正解がわからない、場合によっては正解がない問題になる、ということも強調すべき違いです。理性的な判断力と失敗を恐れぬ態度で自ら道を切り拓いてください。

卒業の達成感に満ち、正装した皆さんの若々しさは、我々にはまばゆいばかりです。しかし、ある先生が退職前に良く語っていたのは「君たちは若いと思うな」ということでした。
ある数え方をすると22歳くらいが人生の中間点になるのだそうです。どういう数え方かは考えてみてください。老いやすく学成り難しと同義かもしれません。ぜひ有意義な時間の使い方をしてください。

地球惑星物理学としては、本学科のカリキュラムは基礎に重きを置いているので、これまでの2年半ではまだほんの入り口しか見せられていません。それでもある程度面白さを見つけてもらえたのではないでしょうか。
卒業で大学を離れる人でも、この学科で学んだ物理学的な思考と、地球や惑星の様々な事柄は皆さんの人生を豊かにしてくれると期待します。大学院進学する人は、さらにその奥を一緒にじっくり研究しましょう。

異例ずくめの春ですが、何年か経って振り返ると、今年は忘れられない卒業式になると思います。今は卒業の喜びをかみしめつつ4月からの新しい生活に備えてください。