学生の声

他分野から進学される方へ

松原 弘典(大気海洋科学講座・修士2年)

今、この文章を読んで下さっている方はおそらく、多かれ少なかれ気象学/海洋学に興味を持っていながら、 それらとは異なる分野の学科で学んでいる方だと思います。 ここではそうした方にとって少しでも参考になるものを書くように心がけました。

興味を持つまで

 私は高校時代に物理や数学に興味を持ち、その後、青山学院大学の物理・数理学科に進学しました。 学部4年の卒業研究では数理物理学の研究室に所属しました。 その当時は数学や物理に対して、ある程度の面白さを覚えてはいましたが、 当初から、学んでいる物理や数学を応用できる分野に進みたいと思っていました。 せっかく自然科学を勉強しているのだから、自然をもっと理解したい、 その思いから行きついたのが気象学/海洋学でした。 しかし、私がいた所には研究する環境はなかったため、必然的に外部進学を考えることになり、 本研究科の存在を知ることになりました。

受験の前に

 外部進学をすることは決心したものの、 進学した先の人たちが「具体的に何を研究しているのか?」、「本当に自分がそこでやって行けるのか?」など 分からないことだらけでした。 身近な人たちに相談しているうち、他研究室の1学年上のOBで地球惑星科学専攻に進学した方がいることを知りました。 早速メールを送り、OB訪問の約束を取りました。 訪問した際にはかなり濃い話を親身になって、数時間に渡ってして頂きました。 自分が卒業研究でやっていた数学の一分野が有効な解析手段の一つであることを知ることもでき、 以前よりも進学の意思が鮮明になりました。

その後、さらに続けて調べものをしたり、啓蒙書を読んだりするうち、少しずつ興味を持てそうな分野が分かってきます。 興味を持てそうな具体的なキーワードが出てくる頃、その分野の先生の所を訪問すると良いでしょう。 その先生と話をして興味を持てなかったとしても、訪問をしたことで、何らかの指針が見つかるはずです。 就職活動をするような気持ちで、研究室訪問すると良いと思います。 以上のように、受験前(進学前)にイメージをより鮮明にするように心がけておきましょう。

それとは別に、自分がいる環境や、自分が勉強している分野の中で 好きなもの、得意なものを出来る限り極めておくことをお勧めします。 (私の場合はフーリエ解析に親しんでおきました。) 入学するとすぐに、内部生とともに受講する大学院の講義のほかに、 彼らはは既に受講済みである学部3,4年生用の講義を受講することになります。 そうなってからではどうしても時間が足りなくなるので、その前に好きなことをやっておく方が良いと思います。 もし、これから個性を生かしてやっていきたいのなら、すぐに役立つとは限りませんが、必ずどこかで役に立つと思います。

入試について

 筆記試験は英語と専門科目、それと小論文がありました。 英語はこれまでにどれだけコンスタントに勉強していたかが問われるのだと思います。 精一杯、自分の力を出し切れば何とかなるはずです。 (ちなみに私は英語が特に苦手で、学部時代はサボりがちだったため、入学して以来、英語と格闘する日々が続いています。)

専門科目は数学、物理、化学、生物、地学の問題の中から数問ずつ選択します。 私はその中から、学部時代に専門分野である数学と物理を選択しました。 難易度としてはこれまでにちゃんと勉強していれば、それほど難しくない問題だと思います。 特に、線形代数で言えば行列の対角化と、微分方程式で言えば二階非斉次常微分方程式が私の中ではポイントだったと記憶しています。

小論文は入学後にどの様な研究がしたいか、の意思表示をするためのものです。 新たに気象学/海洋学を学びたい、そしてその研究がしたいと思っているのであれば十分です。 また、事前に先生方あるいは先輩方とのコンタクトを試みていれば、なお明確なイメージを持てているはずです。 あとは、その気持ちをこの小論文にぶつけてみてください。

数日後に行われる面接では、小論文の内容に基づいて、簡単な意思確認が行われます。 これも小論文が書ける程度に考えがまとまっているのであれば、心配するほどのことでもないと思います。 あとは、見栄を張らずに正直に!

入学後の環境づくり

 ここまで、入試に関して書きましたが、それ以上に入学してからが大変になるかも知れません。 合格通知を受け取り、新年度を迎えれば、新しい環境の中での研究生活が始まります。 4年間掛けてやっとのことで馴染んだ環境に別れを告げ、 全く知らない環境の中でのゼロからのスタートとなります。 もしかしたら今まで勉強してきたことへの誇りが邪魔になることがあるかも知れません。 もしかしたら内部生と自分との間の差を感じることになるかも知れません。 他にも色々な環境の違いが頭を悩ますかも知れません。 私が一番苦労したのが環境づくりでした。 同じ理学とはいえ、考え方に少なからず違いがあります。 今までの考え方を貫くのも一つでしょうが、そればかりだと孤立することがあります。 初めはつらいですが、一度すべてをやり直すつもりで、人と接してみると良いのかも知れません。 出来る限り多くの人たちとコミュニケーションをとることで、また新しい環境の中での自分の居場所を作って行けるのだと思います。

学生生活について

 学生生活について簡単にお話しします。 修士課程を修了するためにはもちろん取らなければならない単位があります。 そのノルマをクリアするためには、授業を8コマ、これに加えて輪読やセミナーがあります。 授業が「2年間で8コマ」と聞くのはそれほどキツそうには聞こえません。 しかし、学部4年でほとんど授業を取らずに「のほほん」としていた私に取ってはかなりつらいことでした。 さらに修士1年の月曜日に5コマを申請すると、体力的にも、精神的にもかなり厳しいスケジュールになります。 面倒なことは早く済ませて、楽しみな研究一本にしたいところですが、 慌てず、二年間に渡って少しずつ細切れにして配置するのも良いかも知れません。

輪読では研究するにあたって知っておくべきことを、先生や先輩方とテキストを読み合わせすることで深めていきます。 テキスト内容の説明をする当番の頻度としては、1年に2、3度程度です。 初めは先輩方の議論のの内容が分からないこともありますが、 キーワードだけでもメモしておいてあとで調べれるようにしています。 そうすることで、少し高い位置に目標を置くことができ、その後の学習の指針になります。

セミナーでは自分の研究について発表したり、関連した先行研究についての論文を読んで、それを紹介したりします。 所属するグループにもよりますが、私の参加している海洋物理学セミナーは年に2度、発表する機会が与えられます。 初めは論文を読むのも大変なことですが、先生方が手取り足取りご指導くださります。

おわりに

 大変そうな印象を持たれた方も多いのではないでしょうか? もしかしたら止めておこうと思う方もいらっしゃるかも知れません。

この分野は言ってみれば、科学の集大成です。 それだからこそ困難も多くありますし、その分やりがいも多くあります。 当たり前なことですが、研究に苦悩はつき物です。 (もちろん、どんな仕事についても、同じことでしょうが…。) 今一度、ご自分がやりたいと思うことを考えてみてください。 本当に興味を持って、情熱を持ってやりたいと思えることなら、どんなことでもやり遂げられるはずです。 もし、その興味が気象学/海洋学に向いているのであれば、是非いらしてください。 そして、是非、他分野出身という利点を生かし、新たな風を吹きこんでください。 その風がきっと、新しい発見につながるのだと信じています。