学生の声

大学院への進学と院生生活

古川 琢朗(大気海洋研究所・修士1年)

 大学院への進学やその後について、不安や疑問を抱えている方も少なくないと思います。1つの例として、院試から院生生活を体験して感じたことを書いていきます。

1. 研究室の訪問

 受験の前に、進学先ではどのような研究を行えるか、生活環境はどうか、など気になることが多いと思います。そこで、大学院進学ガイダンスへの出席以外に、実際に興味がある研究室へ訪問することをお勧めします。直接先生とお話しすることで進学後の研究について詳しい内容を知ることができる他にも、研究室の雰囲気や生活などを実際に感じたり、先輩方から聞いたりすることができます。また、訪問する研究室は1つに絞るのではなく、少しでも興味がある研究室にはなるべく訪問するようにしましょう。思いがけない研究室で自分がやりたいことが見つかるかもしれません。

2. 院試

 入試には筆記試験(専門科目・英語・小論文)と面接がありました。まず専門科目の勉強ですが、公開されている過去問を中心に勉強するのが良いと思います。過去問から毎年の傾向が見えてくるので、そこを中心に教科書や簡単な問題集で勉強しました。過去問を見れば分かると思いますが、難易度は高くはなく、しっかりと基礎を復習するつもりで受験勉強に励みましょう。研究室によっては受験科目を指定しているところがあります。事前に確認しておきましょう(物理・数学を課す研究室が多かった気がします)。

 英語はTOEFL-ITPを受けました。TOEFL-ITPを受験したことが無い方は、形式に慣れるためにも、本番形式の問題集を解いてみることをお勧めします。英語は論文の読み書きや、洋書での勉強など、どの分野でも研究に必要となります。英語に関しては慣れだと思うので、自発的に英文を読む機会を増やすのが良いと思います。

 小論文は、大学院でやりたいことを800文字程度にまとめるといったものでした。試験時間は意外と短く感じたので、予め回答を作っておくことをお勧めします。口述試験のグループ分けや研究室配属に関わってくるので、よく考えて書きましょう。

 筆記試験に合格すると、数日後に面接が行われます。人によってはいくつかのグループの面接を受けることになります。志望理由や大学院でやりたいことを中心に質問された記憶があります。それほど構えてかかる必要はないと思いますが、少なくとも志望理由ははっきり言えるようにしておく方が良いのではないでしょうか。それから、意外と気にする人も多い面接時の服装についてですが、私が見た限りスーツが殆どでした。直接関係はないと思いますが、参考になればと思います。

3. 指導教員の決定

 院試合格後、面接や小論の内容から、数名の指導教員が紹介されます。実際に教員と会って、進学後の研究内容や指導方法、また教員との相性などじっくりと考え、慎重に指導教員を決定してください。学生だからこそ言えることもあるため、先生だけでなく研究室の院生から話を聞いて参考にするのも良いと思います。大学院入学までの進路相談を担当する先生もいらっしゃいます。入学前の一番重要な過程ですので、迷ったらすぐに進路相談の先生に相談して、より良い大学院生活をスタートできるよう努力してください。

 

4. 大学院での生活

 大学院の生活では、研究の他に授業やゼミなどがあります。

 修士課程では、卒業単位として16単位が必要となります。授業の取り方は人それぞれですが、1年の前期のうちに出来るだけ沢山の単位をとってしまおうとする人が多いように思えます。他分野から進学した人にとっては、はじめに基礎知識を身に付けるため、他にも後でじっくり研究に専念するためなど、早いうちに単位をとってしまう方が良いという考えの人が多いようです。また、私もそうですが、柏キャンパスに通うことになれば、本郷で授業、柏で研究となり、移動の負担を考えても時期的に集中させて授業を取る方が楽のように思えます。このように効率的に授業を取ることも重要ですが、まず何よりも授業の内容を重視し、無理のないペースで単位を修得していくようにしましょう。

 コロキウムやゼミなどは研究室ごとに異なります。他研究室と合同なものもあれば、学生だけの自主的なものもあり、議論を通じて理解を深めることができます。ゼミの担当が回ってくると、準備で大きく時間が削られて忙しい日々を過ごすことになります。なるべく研究時間を確保するために、電車での移動中にゼミの準備を進めたり、自宅でも研究できる環境を整えたり、小さなことでも工夫するよう心掛けています。

5. さいごに

 院試から研究室の生活まで、経験から感じたことを大まかに書いてきましたが、少しは参考になったでしょうか。

 上記以外のことにも、大学院入学による人間関係の変化に少なからず不安を抱く方もいると思います。私が大学院で新しく出会った先生・先輩方・友人は、人としても研究仲間としてもたいへん尊敬できる方ばかりで、ストレスもなく充実した毎日を過ごせています。多少不安を感じている方も、まずは実際の研究室の様子を知るために、研究室の訪問からはじめてみてはいかがでしょうか。希望通りの院生生活のスタートを目標に頑張ってください。