イオンマイクロプローブによる隕石の微小領域分析

~ミクロの世界から太陽系の起源をさぐる~

イオンマイクロプローブ(二次イオン質量分析計:略称SIMS)を用いた分析技術の発展により、多くの元素の同位体組成・微量元素組成を数ミク ロン~数十ミクロンのスケールで、試料を破壊せずに分析することが可能になってきました。これにより、隕石中の個々の構成物質や鉱物粒子の起源の違い、あ るいは年代の違いが調べられるようになり、45 億年以上前に起こった太陽系形成過程の研究が飛躍的に進みつつあります。

イオンマイクロプローブ(ims-6f)の外観

[ 図1 ] イオンマイクロプローブ(ims-6f)の外観

二次イオン質量分析(SIMS)の原理

[ 図2 ] 二次イオン質量分析(SIMS)の原理

【メモ】同位体

同じ元素の中で、質量数が異なるものを互いに同位体であるという。たとえば酸素には質量数16, 17, 18の3つの安定同位体 (16O, 17O, 18O)がある。原子核が不安定で時間とともに他の原子核に壊変するものを放射性同位体、安定なものを安定同位体という。通常、太陽系物質の多くの元素の 同位体組成は非常に均一であるが、(1)起源が異なる物質の存在、(2)放射壊変による成分の存在などにより同位体異常が生じる。適当な半減期を持つ放射 性同位体は、隕石やその構成物の形成年代を調べるための「時計」として利用されている。

 

酸素やセシウムなどのイオン(一次イオン)を加速して試料表面に照射し、スパッタリングにより飛び出してきた粒子のうち電荷を持つ粒子(二次イオン)を質量分析する。試料表面がイオン源になるため、「その場分析」が可能で、多くの元素について感度が高い。

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