惑星の大気

観測惑星グループは2008年打ち上げ予定の日本の金星探査計画(仮称:プラネ ットC計画)に参加し、測器開発を進めています。この計画で狙っている科学的目標を 以下に説明します。

金星の本体は恒星に対し周期243日というたいへん遅い逆行自転をしています。 この遅い逆行自転そのものが太陽系七不思議のひとつなのですが、高度50-70kmにある 雲層上部の大気はなんとその60倍の速さ、つまり周期4日で本体と同じ向きに回って います。この「超自転」あるいは「4日循環」と呼ばれる不思議な現象は、1960年代 に発見されたのですが、未だにその原因は解明されていません。その理由のひとつは 金星全面を覆う分厚い雲にあります。つまり、雲のためにその下にあるはずの大気高 速自転加速域が見えず、そのメカニズムの理解が進まなかったのです。ところが1990年代になって、波長1-2マイクロメーターの近赤外域に大気の窓があり、雲下が透けて見えることが発見されました。しかも、異なる波長の窓では異なる高度の情報が 得られるのです。我々はこのような近赤外の窓を含む多くの波長で金星大気を撮像 し、異なる高度での大気運動情報を得ることで「超自転」の謎を解こうと考え、金星 大気探査計画を推進しています。現計画では探査機打ち上げは2008年、金星周回軌 道投入は2009年です。現在は、主力となる5台のカメラを始めとする測器デザインを進めています。

雲の下を近赤外線で探査するプラネットCの想像図

雲の下を近赤外線で探査するプラネットCの想像図

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