20 世紀の初め、ヴェゲナーが「大陸移動説」を唱えましたが、大陸移動の原動力が説明できなかったことなどにより、やがて廃れてしまいました。しかし、海洋底の磁気探査の進展などにより、1960 年代になってプレート・テクトニクスとして劇的な復活を遂げました。地球表面は 10 数枚のプレートに分かれていて、各プレートは年間数 cm の速度で動いているのです(図1)。それは大局的には、地球内部の熱を放出する対流運動(=マントル対流)の表面現象と見ることができます。
図2は、人工衛星 (GPS) によるプレート運動の測定結果です。GPSはカーナビゲーションシステムなどにも使われていますが、そういった宇宙測地技術の進展により、今やプレート運 動は実測できるようになりました。しかし、プレートはなぜ動くのか、つまりプレート運動の原動力は依然として良く分かっていません。プレート・テクトニクスの起源も重要な問題です。金星や火星などにはプレート・テクトニクスは存在せず、なぜ地球にだけあるのでしょう? プレート・テクトニクスには、まだまだ多くの謎が残されています。 20 世紀の初め、ヴェゲナーが「大陸移動説」を唱えましたが、大陸移動の原動力が説明できなかったことなどにより、やがて廃れてしまいました。
[ 図1 ] プレートの分布と運動速度。アフリカ・プレートを固定している。運動速度のデータは、Nuvel-1A (DeMets et al., 1994) による。アフリカ・プレートを固定しているため、ユーラシア・プレートや南極プレートの運動速度は小さくなっている。
[ 図2 ]GPS(全地球測位システム)によるプレート運動の測定結果。海洋プレート上の観測点の運動は、各プレートが内部変形せずに地球表面を剛体回転するとい うプレート・テクトニクスによってうまく説明できる。しかし、日本列島を含む東アジアでは、オホーツク・プレートやアムール・プレートなど適当なマイク ロ・プレートを導入しても観測結果をうまく説明することができない。大陸地域では、プレート・テクトニクスに代わる新たな枠組みが模索され始めている。