地震

地震を知らない日本人は極めて稀ですが、日本の周辺だけで一日約200個もの大小さまざまな地震が検知されているのは案外知られていません。地震の根本原因はどの程度わかっているのでしょうか。 地震は、(主にプレートの相対運動により)地下の岩盤にかかった力によって岩盤が破壊して亀裂が走り、その亀裂(断層)をはさんで岩盤がずれ運動する現象と理解されています。 これは近似としては正しいですがまだ現象を完全に理解したことにはなりません。 大きい地震と小さい地震は何が違うのでしょうか? また地殻やマントル、沈み込み帯や内陸などの場所の違いはどう影響するのでしょうか?根本的疑問ですがまだ十分な答えは出ていません。

地震は非常に短い時間の現象ですが、その間にも最初の一点で破壊が始まってから周りに広がっていくプロセスがあります。最近の観測技術と計 算機能力の進歩のおかげでそのプロセスを詳細に解明できるようになってきました。図1はその一例、1995年の兵庫県南部地震の時に地下の岩盤の破壊が進 展していく様子です。これくらい現象が把握できるようになると新たな疑問もわいてきます。地震時の破壊はとても不規則で複雑です。同程度の破壊面積でも破 壊の仕方は多様で、それが震災の違いになることもあります。一見手に負えないこれらの複雑さや多様性に対して、観測事実から規則性を発見したり、摩擦法則 や地球の物性を取り入れたシミュレーションで総合的に理解したりする試みが現在進行中です。

 

[ 図1 ] 1995年兵庫県南部地震の断層破壊の広がりの様子

[ 図1 ] 1995年兵庫県南部地震の断層破壊の広がりの様子。50 km x 20 kmの鉛直の断層面上で計算したもの。破壊は深さ約14 kmの震源から開始し、断層面上を広がっていく。色は断層すべり(破壊)の速度、赤い色ほど急な運動が起きたことを示す。地図上の赤い丸は余震の震央分布を表す。

年台湾地震では垂直ずれ8mの断層が出現

[ 図2 ] 年台湾地震では垂直ずれ8mの断層が出現、川が滝に変身した。

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