地球回転と環境変動

数十億年も前には、月が今よりもずっと近くにあり、地球の自転速度も速かった(一日がわずか6時間)と考えられています。 地球―月系では、月に角運動量を与え続けることによって、地球の自転速度が徐々に遅くなっているのです。 また、地球の公転軌道や自転軸の傾きも、惑星間の重力摂動により周期的に変化することが理論的に計算されています。

地球の公転軌道や自転軸の傾きが変化すると、太陽からの日射量が変化します。 ほんの一万年前は氷河期で、ヨーロッパや北米大陸は巨大な氷河で覆われていたのですが、この氷河期の原因は、太陽からの日射量の変化、つまり地球の公転軌道や自転軸の傾きが変化したためと考えられています。

地球の回転運動は、大気の運動やコアの運動とも関係があります。 例えば、偏西風が強く吹くと、地球の角運動量を一定に保つために自転速度は遅くなります。最近では VLBI など宇宙測地技術の進歩によって微細な回転運動の変化も観測できるようになり、太陽や月の潮汐力による回転速度の変化などが実測されるようになってきました。

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