升本順夫学科長からのご挨拶「地球・惑星を観る目を鍛えよう」

 私たちがいる地球のこと、さらには地球を含む惑星のことを、私たちはどれだけ知っているでしょうか。地球や惑星の内部構造、その周囲を覆う大気や海洋、さらには地球や惑星を取り巻く空間は、常にダイナミックに変動を続けています。これらはどのようにして作られたのか? 何故、どのように変動しているのか? その本質は何だろうか? 地球惑星物理学科は、このような問題を、数理的手法、実験/観測的手法や数値計算などを使って、物理的な思考で追求するための研究をし、その基礎を教える役割を果たしています。

 私自身は、海の流れや波浪が何故起こるのか、それが海岸付近で私たちの生活とどのように結びついてくるのか、といった興味からこの分野に入ってきました。その後、"何故"を追いかける、より理学的な方向へと深入りすることになったのですが、常に自分なりの新たな発見を通じて、海や大気、それらが作り出す気候の維持、変動メカニズムを知る喜びと素晴らしさを経験してきました。

 地球や惑星の他の要素に注目した場合でも、多くの研究者が同様の経験をしているものと思います。しかし、完全に同じことは再び起こらない地球や惑星の現象解明に挑むためには、それらを観る目を鍛える必要があります。現象の本質を見通す物理という目、様々な手法という目を駆使しながら謙虚に対象と向き合い、現象の本質を大胆に捉えることこそ、理学の醍醐味と言えるでしょう。皆さんにも、是非このプロセスを味わってもらいたいと思います。

 また今日、地球惑星物理学は純粋な理学としての探求のみならず、地震や火山、気候変動・変化、磁気嵐などに関連した防災や減災を通じて、豊かな知見を幅広く応用利用するという側面でも、大きく期待されています。地球惑星物理学科で学ぶ体系的な授業の多くは、このような社会の第一戦で活躍するための基礎ともなっています。社会との接点を持ちながら、自然現象のエッセンスを明らかにする、とても魅力の多い分野です。

 様々な対象と多様な時空間規模の変動に満ちあふれた地球や惑星は、もっと知ってほしいと待ち構えています。是非、地球や惑星を観る目を鍛える一歩を踏み出して下さい。皆さんと一緒に学び、自然のメカニズムを探求して行けることを楽しみにしています。

 

 

 

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