テーマ:2セル子午面流に基づく太陽差動回転の数値シミュレーション
氏名:戸次 宥人(2014年度進学)
担当教員:横山 央明
【内容】
太陽対流層における大規模対流構造は、赤道が極に比べて速く自転しているという「差動回転」と、南北方向で切った子午面内で閉じた循環流である 「子午面流」の2つで特徴付けられ、これらは互いに影響を及ぼし合いながらバラン スしていると考えられています。このうち子午面流に関しては、近年の日震学的観測 結果によりこれまで多くの研究で仮定されていた1セル構造とは異なる2セル構造をしている可能性が示唆されました。差動回転と子午面流は共に太陽磁場の生成・ 維持プロセスに重要な役割を担っているため、この観測結果は従来考えられていた 太陽内部での磁場生成理論に大きな見直しを迫る恐れがあります。そこで本研究では、2セル構造の子午面流が太陽の差動回転とバランスして達成されることが流体力学的に可能かどうか、数値シミュレーションによって検証することを目指しました。
【感想】
特別研究では、先生や院生の先輩方のサポートの下それまで学んできた知識を総動員して興味のある研究テーマに打ち込むことができます。半年間という限られた時間でしたが、論文を批判的に読み、それについて議 論するとともにその内容を発展させた研究を行い、最終的に成果をまとめて発表するという一 連の流れを経験したことで、研究とはどういうものか実感を得ることができました。
図1:数値実験で得られた太陽対流層内部の差動回転(左)、子午面流(中央)、エントロピー分布(右) の様子。差動回転と2セル子午面流が両立していることが確認できる。更なる長時間計算によりエ ントロピーの時間発展を調べることが今後の課題となる。