4年生演習:高須賀大輔

 

テーマ:全球高解像度モデルによるマッデン・ジュリアン振動シミュレーション

 

氏名:高須賀 大輔(2013年度進学)

 

担当教員:佐藤 正樹・宮川 知己

 

【内容】
 マッデン・ジュリアン振動(MJO)は熱帯の主要な大気変動であり、水平数千kmにもわたる巨大な積乱雲の集合体がインド洋から西太平洋にかけてゆっくりと東に進む現象として観測されています。MJOは台風の発生や地球規模の循環にも影響を与えるとして長年研究されていますが、メカニズムはいまだ完全には理解されていません。この演習では非常に多くの島と暖かい海からなるインドネシア海洋大陸と呼ばれる地域に着目し、その複雑な海陸分布や地形がMJOの振る舞いに与える影響を、全球非静力学モデルを使った数値シミュレーションによって調べました。その結果、陸面の被覆によるMJOの弱化や東進速度の上昇、また、山岳によって励起される強制的な対流がMJOの強化に寄与していることがわかりました。

 

【感想】
 最初に論文を読んだあと、数値実験で用いる全球モデルをスーパーコンピュータ上で動かすことから始まりました。全球モデルともなるとプログラム群も膨大であるため、初めはその取り扱いに苦労しましたが、時にはコードを読み解きながら日々触れるうちにモデルの中身を徐々に体得していく経験は有意義でした。また、数多くの数値実験で得られたデータの整理や解釈が難しい面もあったなか、先生方から指導を受けつつ結果が浮き彫りになる過程を実感でき、研究の一端に触れられた貴重な体験でした。

 

図1:横軸に経度、縦軸に時間をとって表したOLR(外向き長波放射量、対流活動の強さを表す指標)の変化。(左上)地形なし(右上)海洋大陸(左下)大きな陸板(右下)高さの無い海洋大陸。

 

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