4年生演習:佐藤大卓

 

テーマ: 冬季アジアジェット沿いに卓越する波列偏差パターンの解析

 

氏名:佐藤 大卓(2008年度進学)

 

担当教員:中村 尚

 

【内容】
 大気中にはロスビー波と呼ばれる自由振動の波が存在します。ジェット気流に捕捉されたロスビー波は、ジェットに沿うエネルギー変換により、東西方向のテレコネクション(遠隔結合)をもたらすため、日本の天候にも大きく影響を与えます。本演習では、冬季のアジアジェット(ユーラシア大陸上空、北緯30度付近のジェット気流)近傍において月平均場で卓越する変動を抽出し、その空間構造や維持過程をエネルギー収支の観点から解析しました。

 

【感想】
 基本場と擾乱との間のエネルギー変換を計算し、アジアジェットに沿って見られる停滞性波動擾乱が効率よく基本場からエネルギーをもらって自らを維持していることがわかりました。さらに、そうした波動擾乱が特定の地理的位相に固定されにくいことをエネルギー収支の観点から示しました。これは、夏季の場合にはジェットに沿う波動擾乱が特定の地理的位相に固定されやすいという先行研究とは対照的な結果で、ジェットの東西構造の違いに起因すると考えられます。特別演習や特別研究では、自分が手を動かして作った図や表からどういうことがどこまで言えるのかを考え、何かを“見出す”時間だったと思います。最初は右往左往するばかりで困難を極めましたが、先生や先輩と議論を重ねて一つ一つの結果の解釈を繋げていくことは面白く、解析を進めるうちにやりがいや達成感を見出していくことができました。有意義な時間でした。

 

このページの先頭へ