エルニーニョ(エルニーニョ/南方振動、ENSO)

壮大な大気と海洋のドラマに挑む

暖冬や冷夏、猛暑や厳冬、異常気象の頻発など、私達の感じている平年的な季節進行からちょっとずれていると、地球温暖化だ、気候変動だ、異常気象だと騒がれます。 このうち数年程度の規模で起る気候変動の最たるものとして知られているのがエルニーニョ/南方振動(単にエルニーニョとも呼ばれる)です。 エルニーニョ/南方振動の英語標記(El Nino/Southern Oscillation)の頭文字を取って、ENSOとも呼ばれています。
太平洋の熱帯域で発生するENSOは、大気からの風と熱が海洋の変動を生み出し、それに伴って変化する海表面水温が大気循環の変動を作り出す、という熱帯域での大気と海洋の相互作用が重要であることは良く知られています。 また、大気中を伝播する波動によって、ENSOの影響が地球全体に及び、各地で異常気象を引き起こしていることも知られています(テレコネクションと呼ばれます)。 しかし、何故エルニーニョが発生するのか、どのくらい強くなるのか、いつ終わるのか、と言った問題に関しては、その詳細まで統一的に理解するには至っていません。 現在、各国の気象庁などでENSOの予測をしていますが、上記の問題にきちんと答えるためには、さらに詳しい研究が必要となっています。

最近の研究によると、ENSOのような大気海洋相互作用は、数年程度の時間規模だけではなく、毎年起る季節変化の中にも見られること、またインド洋の熱帯域でも同様の現象(インド洋ダイポール現象)が起っていることが分かってきました。

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