3月11日以来、日本人のボランティアに対するイメージは大きく変動したように思います。以前からボランティア活動に関わってきていた私自身、周りの学生の意識の変化を身をもって感じています。テレビの中に広がる光景を目撃し、“なにかしなくちゃ”、“じっとしてはいられない”と立ち上がった若者が、次々と出て来ているのです。
そして私も、そんな数多くの学生の一人でした。少しでもこの自分の機動力を復興の労力に当てて欲しい、どんな雑用でも喜んで引き受けたい、そう思っていた矢先に、ある活動仲間の紹介で現地に足を踏み入れるチャンスをもらうことができたのです。
私が参加したのは、「被災者をNPOとつないで支える合同プロジェクト」。被災直後の避難所におもむき、アセスメントを通して専門的な処置が必要な被災者の方を専門NPOとつなぐ、というプロジェクトです。様々な避難所で被災者の方々と言葉を交わしたり、他の復興支援団体と関わりを持ったり、とても貴重な体験をさせていただくことができました。
そして、何よりもショックだったのが、自分自身の無力さです。“また地震は来るんかい”。その言葉を何度もぶつけられました。地球惑星環境学科では地震や火山活動、プレート活動と、様々な地学分野を学びますが、どれだけ学部で課題レポートを書いても、どれだけまじめに講義ノートをとっても、被災地では何の力にもなりません。と、いうより、どう活用すればいいのか、その手法がわからないのです。
学部で学ぶと言うことは、それ相応の知識が身に付くと言うことです。しかし、それを何に用いるのか、どうやって活用するのかは、本人次第だと思います。“興味の追求”、“好奇心の追求”と言ってしまえばそれまでですが、現代の日本で科学を学ぶ以上、私はその知識をどうやって社会に還元していくのか、一人の専門家の卵としてどうやって広げていくのか、それを常に念頭におきながら日々学ばなくてはいけないのだなと強く実感しました。
これから先、自然災害のみならず、環境破壊や資源枯渇、様々な問題が我々を待ち受けています。そういった壁に向かう他無い私たちの世代だからこそ、よりいっそう理系の社会的役割を考えて学ぶ必要があるのだと思います。
大谷 壮矢(地球惑星環境学科・4年)