(地球惑星環境学科卒業生と本学科の前身である地学科卒業生の声を掲載しています)
奥村 大河
■卒業年:2009年3月
■最終学歴・学位:2014年3月 東京大学大学院博士課程修了 博士(理学)
■現職:(株)日立製作所 中央研究所
■駒場生へのメッセージ
私は現在、電子顕微鏡の研究・開発に関する業務に携わっています。学生時代は鉱物の構造をミクロな視点から調べる研究を行い、その分析装置の一つとして電子顕微鏡を使用していました。自然界で様々なプロセスを経て形成された物質が相手ですので、分析結果の解釈を正しく行うために、分析手法の原理も勉強していました。そして現在は、電子顕微鏡を使う立場から作る立場となって研究を続けています。地球惑星環境学科での勉強を通じて、複雑な物質を多角的に分析し、得られたデータを整理しロジックを組み立てるスキルが身に付きま した。論理的に考える能力は、理系・文系関係なくどんな場面でも必要です。何よりも入り組んだ自然を対象としてそのトレーニングをすることは、今後の人生に大いに役立つと思います。
加藤 太一
■卒業年:2011年3月
■最終学歴・学位:2011年3月 東京大学 理学部地球惑星環境学科 卒業
■現職:ミュージアムパーク茨城県自然博物館 学芸員
■駒場生へのメッセージ:
私は博物館で古脊椎動物分野の学芸員をしています。学芸員は自分の専門分野以外にも,様々な領域の事柄を扱う職業です。展示作成や教育普及事業では,科学全般の幅広い知識が必要になります。私は自身の専門を決める前に,地球科学について広く学習できた点で,この学科に進学して良かったと思います。また,様々な研究分野の第一線で活躍されている先生方や先輩方との交流を通し,多岐にわたる自然科学の面白さを感じることができる点もこの学科の大きな魅力だと思います。
諏訪 理
■卒業年(地学科):1999年3月
■最終学歴・学位:2007年6月 プリンストン大学大学院博士課程修了 Ph.D.(地球科学)取得
■現職:世界気象機関(WMO)開発・地域活動部
■駒場生へのメッセージ
WMOは気象・気候・水文を担当する国連専門機関として地球科学に関連する実務を通し様々な地球規模課題に取り組んでいます。その中で各国気象庁や研究機関と気象や気候サービスに関する技術的な議論はもちろんの事、他の政府機関、NGO、企業から特にアフリカなど途上国の農民や漁民に至るまで広範囲な利害関係者やエンドユ-ザ-とコミュニケ-ションをし、時には一緒に仕事をしていく必要があります。気候変動や自然災害リスク軽減が国際社会でますます重要な課題となる時代に、地球科学をきちんと学び、そして幅広いコミュニティ-とコミュニケ-ションができる人材の需要は今後ますます高まっていきます。地球科学は地球の姿を知る学問であると共に、世界中の多くの人々の生活を改善する可能性のある分野なのです。
横山 正
■卒業年(地学科):1999年3月
■最終学歴・学位: 2004年3月 東京大学大学院博士課程修了 博士(理学)
■現職:大阪大学 大学院理学研究科 宇宙地球科学専攻 助教
■専門:岩石-水相互作用
■駒場生へのメッセージ
私は、岩石の隙間にしみこんだ水と造岩鉱物がどのように反応するのか、また、岩石の内部を水や気体がどのように通り抜けるのかについて、天然試料の分析や室内実験を通じた研究を行っています。学生時代、進路を検討した際には、自然が好きで自然に携わる仕事をしたい、特に地球のことを深く探求する研究者になりたいという思いから、本学科を選択しました。
地球惑星環境科学では、物理・化学・生物・数学などの知識を駆使し、様々なアプローチで複雑な天然現象を読み解いていきます。
大村 泰平
■卒業年(地球惑星環境学科):2008年3月
■最終学歴・学位:2008年3月 東京大学理学部 学士(理学)
■現職:国際石油開発帝石ホールディングス(株) 技術ユニット
■駒場生へのメッセージ
環境,資源,防災といったテーマに関心があった私は,進学先として複数の学科を視野に入れて考えていましたが,自然現象を原理的に深く学ぶことができそうだと思い,理学部に進学しました。フィールドワークや実習に明け暮れた学生生活でしたが,自分の「自然を見る目」がどんどん豊かになっていくのが実感で きる,充実した毎日でした。断片的な専門知識はいつでも勉強できますが,自然に対する感性を養うのは学生時代しかありません。そのためには,地球惑星環境 学科が最高の選択だと思います。
和志武 功久
■卒業年(地学科):2004年3月
■最終学歴・学位:2004年3月 東京大学理学部 理学学士
■現職:気象庁予報部情報通信課
■駒場生へのメッセージ
世界中どこへ行っても地面が存在する以上、地球科学は社会と密接に結びついています。特に、およそ科学というものは「我々はどこから来るのか、いったい何者で、そしてどこへ行くのか」という疑問から生まれている分野であり、「私たちが住んでいるこの地球はいったい何なのか」に答えようとする地球科学は、 まさに科学の原点の一つと言えます。地球科学を学ぶ上で身につく知識は様々な分野に応用が利き、最終的にどんな分野に進むにせよ自分がやりたいことをじっくり考えるのに良い環境だと思います。
高木 哲也
■卒業年(地学科):2002年3月
■最終学歴・学位:2004年3月 東京大学大学院修士課程修了 理学修士
■現職:(株)JALUX
■駒場生へのメッセージ
私が勤務しているJALUXは、飛行機搭載用品も取り扱う会社です。 世の中に広がっている空間は、実はすべてデジタル化出来ると思っています。でも、それは非常に複雑ですべてがクリアになるためには、あと何百年とかかるこ とでしょう。しかし、特徴を見抜けばそこには部分的であれ法則が見出せます。この快感を是非味わってみてください。またそういった発想は世の中や社会の法 則を見出すスキルへと繋がり、 結果として様々な仕事に役立つと思います。
渡邉 敦
■卒業年(地学科):1999年3月
■最終学歴・学位:2004年3月 東京大学大学院博士課程修了 理学博士
■現職:名古屋大学大学院環境学研究科 COE研究員
■駒場生へのメッセージ
私は海が人間が出した二酸化炭素をどれぐらい吸収しているのか、について研究しています。このテーマに対するアプローチは無数にありますが、私は化学を 武器にして海に行って実際に観測をし、物理や生物の人たちと協力し合う事で理解を深めています。地球科学の魅力は、自然の中に出て行って自分で知りたこ とを見つけ、それに対するアプローチ(利用する学問や、人とチームで行うか否かなど)を自分自身で決められる事だと思います。駒場で身に付けたものの中から、得意な分野を活かして誰も知らない地球の一面を明らかにする、そんな科学が有って良かったと私は思うのです。
伊藤 民平
■卒業年(地学科):1997年3月
■最終学歴・学位:2002年3月 東京大学大学院博士課程修了 理学博士
■現職 独立行政法人 国際協力機構(JICA) 企画・調整部
■駒場生へのメッセージ:
地球科学は、扱う時間・空間スケールの壮大さが特徴で、地球に様々な角度からせまる学問です。研究室だけでなく、野外のフィールド調査で地球の営みを直 接観察・調査する機会があります。観察事実と物理的な理論から、直接見る事のできない過や地球内部を明らかにする点にやりがいと魅力があります。「環境の 保全と持続可能な開発」が鍵となる今後の世の中、地球を良く知る事が極めて重要で、地球科学は益々重要です。このやりがいのある分野に是非トライしてはどうでしょう。
佐藤 たまき
■卒業年(地学科):1995年3月
■最終学歴・学位:2003年6月 カナダ・カルガリー大学大学院博士課程修了 Ph. D. 取得
■現職:東京学芸大学 准教授
■駒場生へのメッセージ:
私はフタバスズキリュウなどの中生代の大型爬虫類化石を研究しています.地球科学は理学・工学などの様々な手法を用い,国内外の様々な人と協力しながら研究を進めていく分野です.駒場生の皆さんには,基礎学力をつけて自分の興味を持った分野をとことん追及する力を持てるようにすると同時に,積極的に関連分野の人と交流するなどして多様性や変化を楽しんで欲しいと思います.