卵 東京大学理学部地球惑星環境学科
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メンバー紹介: 田近 英一

所属:地球惑星科学専攻 地球システム科学講座
専門分野:地球惑星システム進化学
電話番号:(03)5841-4516
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建物・部屋番号:理学部1号館C棟7階・732号室
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自己紹介
私は、地球や惑星の環境進化、とりわけ生命が生存可能な惑星環境の形成要因と進化・変動に関心を持っています。たとえば、地球史初期から海洋と生命がずっと存在し続けてきたことから、地球環境は大局的に見れば安定であると考えられています。一方で、地球史においては気候変動が繰り返され、地球環境は常に変動していることが知られています。こうした地球環境の安定性/変動性の要因やその実態は、まだよく分かっていないことばかりです。この問題は、火星や金星の環境や、太陽系外惑星の環境の理解とも密接に関係します。私は、地球惑星環境をシステム科学的な立場から解析することによって、こうした問題の解明に取り組んでいます。

研究のトピック
1:地球環境変動と生命の大量絶滅

地球史においては、さまざまな地球環境変動が生じました。なかでも、生命の大量絶滅が生じた古生代/中生代境界(P/T境界、約2億5000万年前)や中生代/新生代境界(K/T境界、約6500万年前)に何が起こったのかを解明することは、地球環境の振る舞いや生命の進化を理解する上で非常に重要です。このような大規模な地球環境変動は、気候システムや物質循環システムの変動と密接に関係しています。そこで、気候や物質循環の数理モデルを用いて過去の地球環境変動を復元し、そうした地球環境変動の原因と性質を明らかにしようとしています。

2: スノーボールアース・イベント

地球史において、地球全体が凍結するという、極端な寒冷化が何度か生じたらしいことが分かってきました。これは「全球凍結(スノーボールアース)仮説」と呼ばれるもので、いまから約6億5000万年前、約7億年前、約22億年前に生じたと考えられています。これらの時期には、赤道域の大陸も氷に覆われ、海洋表層1000mも完全に凍結したらしいのです。意外なことに、地球大気が酸素に富むようになったのは全球凍結イベントの影響ではないか、という指摘があります。さらに、真核生物や多細胞動物の誕生にも全球凍結イベントが関係していたのではないか、という議論もあります。つまり、全球凍結イベントは破局的な地球環境変動であると同時に、大気や生命の進化とも深く関係していた可能性があるのです。私たちは、全球凍結イベントの実態やその原因、酸素濃度増加との関係などについて、海外学術調査や岩石試料の化学分析、数値シミュレーションなど多角的なアプローチを用いて明らかにしようとしています。

炭素循環モデリングと過去約1億5000万年間の二酸化炭素濃度変動の復元結果
約22億年前の氷河堆積物(カナダ・オンタリオ州,ヒューロニアン累層群)
学生さんへ一言
地球史においては、私たちが経験したことのない大規模な地球環境変動が数多く生じてきました。地球史や惑星進化は日常感覚からかけ離れているかも知れませんが、現在の地球はこれまでの進化の上に成り立っており、地球の未来もこれまでの進化の延長線上にあります。我々が生きている地球とその環境の成り立ちについての理解を深めるために、ぜひ一緒に勉強しましょう。
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