微生物の中でも原核生物は形が単純で、普通に顕微鏡で見ていてもほとんど違いはありません。同じような形をしていますが、分子系統学的にものすごく多様で、かつそれぞれが様々な代謝機能を進化させています。例えば、赤外線を用いる光合成を行う微生物、水素、硫黄、メタン、アンモニア、金属、酸素、硫酸、硝酸などありとあらゆる酸化還元反応をエネルギー源とする微生物、二酸化炭素から有機物を作り出す微生物など、様々な微生物が発見されています。しかしながら、その性質や機能がわかっている微生物は自然環境にいるもののごくわずかにすぎません。また、微生物は酸素の発生、メタンの生成などを例にとるまでもなく、遙か太古の時代から、現代に至るまで、地球環境に多大な影響を及ぼしています。
大気圏から地下深部にいたるまで、様々な場所に生息している微生物のうち、特に海洋と地下の間の環境に注目し、そこにいる微生物には、どのような種類が、どのくらいいて、どのような科学反応を行い、その結果地球環境にどのくらい影響を及ぼしているのか、を知ることが私の研究の目的です。特に最近は水素や硫黄をエネルギー源とする微生物に興味をもっており、深海海底熱水域や地下圏のさまざまな微生物細胞を種類や活性に基づいて染め分け、顕微鏡で観察することで、種類と存在量を調べています。
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